◆定修工事を行う目的
①設備の腐食状況を調調査するための検査
プラントは建設時には50年~60年という耐久年数で設計されて建設されていますが、プラント設備は基本的に常に大気に晒されて、機器や配管内には常に流体が流れているので、部分的に腐食が進行していきます。
これらは、放置してしまうと設備の運転中に突然破壊が起き大事故につながりかねません。
そのため、定修の際に主に機器などの設備を一斉に開放して「非破壊検査」と呼ばれる検査を行います。この機会に腐食がないか、前回発生していた腐食が進んでいないかなどの傾向を監視する目的があります。
②設備の腐食した箇所の取替え
プラントの運転中に、日常的な点検の際に見つかった不具合が起きている場所や腐食により損傷した場所などでプラント設備を止めないと修理できない部分を定修期間内に実施します。
また、①の検査により不具合が発見された場所なども同様に期間内で修理を行っていきます。
日本国内のプラント設備は既に40年~50年経過しており、老朽化が進んだ設備が多くなっています。
③法令で定められている検査を受けるため
プラント設備の配管や機器は引火性・有害性・毒劇物を取り扱ったり、100℃を超えるような高温の流体や大気圧よりも高い圧力の流体を取り扱います。
これらの流体が外部に漏れてしまったり、設備の破壊などにより漏洩すると大事故・大災害につながってしまいますので、「高圧ガス保安法」「労働安全衛生法」などの法令により検査に合格したものでなければ運転することができません。
法の対象となる機器は1年・2年・4年・8年という周期で検査の有効期間が来るため、有効期間が切れる前に県や労働基準監督署に受検を申請して検査に合格することが必要不可欠となります。
このため、対象機器など定期的に開放して整備を行い、検査を受検します。
プラント設備を停止している期間というのは生産が完全に停止するので、その期間は製品を生産することができません。「1日停止すると何千万~何億円という」損失が発生するのだと聞きます。
そのため、プラント設備は簡単に停止操作をすることはできませんので、基本的には法で定められた機器の検査の受検に合わせて、1年~2年毎(または4年毎)に定修が行われるようになっています。
④設備停止に合わせて、改造
プラントを運転しているときは、改善の余地があるものは生産性を高めるため、適宜改善をしていく必要があります。
例として配管や機器の材料を腐食に対し、強い耐性のあるものに変えたり、配管の大きさや形状を変更したり、生産能力を上げるために新らしく設備を増設したりします。
特に材料の変更などは研究が進んできていますので、最近ではよく見られる改造例です。
大がかりな設備の増設を行う場合には、日常の中で長い期間をかけて建設をし、実際に既設設備へと繋ぎこむ作業を定修期間で行うこともあります。
⑤設備の連続使用に伴う内部の清掃
プラント設備を稼働し続けることで、内部には汚れが溜まり配管や機器を閉塞させてしまうことがあります。設備の効率を大きく低下させ、生産に悪影響を及ぼします。
定修の際に汚れの心配があるものは内部の開放を行って、直接人の手による掃除をしたり、JET洗浄やバキューム車を用意して洗浄したり、場合によっては薬品による溶解処理を行うこともあります。
特に水や海水が流れている場合や、化学物質が流れている場合などが対象となることが多いです。
ガス等気体の類は内部に汚れが溜まることはほとんどありません。
日本国内にあるプラントの多くは既に老朽化が進んでおり、修理という意味では定修工事は大きな意味を持っています。
その他、法律なども関係していますのでプラントの運転継続にはかかせない工事になります。
現代の私たちの生活にとって、重要なものを各種プラント設備は生産してくれています。そんなプラントの運転継続のための必須工事となりますので、重要で需要があり、また仕事量の安定にも繋がっていることになります。